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背・腹部へのアプローチ 筋肉を調整し、自律神経を最適な状態に導く

背・腹部へのアプローチ 筋肉を調整し、自律神経を最適な状態に導く (セラピスト 2016年1月)

(セラピスト 2016年1月)

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取材 本院 鈴木院長が取材されました!

セラピスト 2016年1月


 リラックスした状態をつくるには、自律神経の調整が必須です。
それらにピンポイントでアプローチする、背部と腹部への施術法を、「日本自律神経研究会」代表の鈴木直人さんに伺いました。


リラクゼーションの種類を見極めて施術する

 「リラックスとは、適度な筋肉の緊張が均一にある状態をいいます」とは、主にうつや自律神経失調症などを専門にケアしている鈴木直人さん。


 「筋肉は緊張し過ぎていても、ゆるみ過ぎてもよくありません。
本来の自然な筋肉の緊張があることが理想です。
ところが、どこかが部分的に過緊張を起こしてしまうと、必ずどこかが低緊張になります。
この不均衡こそが、身体の凝りや痛みの原因となります。
そればかりではなく、うつや自律神経失調症とも大きく関係します」


 つい、凝りをほぐそうと、筋肉が緊張しているところばかりに気をとられがちですが、ゆるみ過ぎてしまった筋肉にも目を向けて、身体全体からその不均衡を整えることが重要。


 「そして大切なのは、患者さんに本当に必要なリラクゼーションの、"目的"を見分けることです」

 その人は施術中にリラックスさせて、寝かせてしまったほうがいいのか?
家に帰って夜ぐっすり眠れるようにするべきか?
また、どれくらいの深さが必要なのか?
など。


 「それにより、施術の方法も違ってきます。
すぐにリラックスさせるなら、ごく軽いタッチにするべきだし、後で効果が現れるようにするなら、少し侵襲性のある(刺激が強い)施術も考えられます。
リラクゼーションの質も、軽い刺激なら浅く、強い刺激ならより深くなります。
一度、強い刺激で神経を覚醒させると、その後に深い休息に導くことができるのです」


 リラクゼーションが目的だからと、必ずしも軽いタッチである必要はなく、時には刺激のある施術をすることもあるといいます。
眠りが浅いと感じる人は、寝る前に軽い体操をすると、その後に深い眠りが得られるのと同じ原理。


 眠りの浅い人は、交感神経と副交感神経のメリハリが少なかったり、切り替えがうまくいかないことが原因です。


 「たとえば、グラフにしてみて、上にいくほど交感神経が高まり、下にいくほど副交感神経が優位になるとします。
その振れ幅が大きいほど、昼は活動的に行動ができ、夜はぐっすり深く眠れることになります」


 また、怒りの感情は主に交感神経に、悲しみは副交感神経につながります。
振れ幅が大きいほど、喜怒哀楽が大きく、意欲的に活動し、しっかりとリラックスをして、休息も得られるのです。


 「ところが、怒りの感情を我慢してしまうタイプは、交感神経への振れ幅が少ない分、副交感神経のスイッチも入りにくく、深くリラックスすることができません。
怒りを爆発させずに、我慢した分、そのエネルギーが筋肉の緊張になります。
この緊張状態が長引くと、心身の不調となって現れるのです」


 施術中に身体がピクピクする人は怒りをためるタイプ、泣き出す人は悲しみを抑えていた証拠だといいます。


仙骨への刺激で脳脊髄液の流れを促す

 「自律神経を整え、リラックスした状態に導くためには、脳脊髄液の流れを促すことが大切です」

 脳脊髄液は脳と脊髄を包んでおり、この流れが悪くなると、深い呼吸ができなくなり、肩凝り、頭痛などさまざまな症状が現れます。
この脳脊髄液の流れを促す方法のひとつが、背部と腹部へのアプローチ。


 「特に自律神経の末端である仙骨の動きをよくすることで、頭部に溜まった脳脊髄液が動き出し、副交感神経が優位に。
仙骨をちょっと動かしただけでも、頭が少し小さくなります」


 洋服やタオルの上から行える手技なので、覚えておくと、一時しのぎではない、効果的なリラクゼーションを行うことができます。


手技のポイント

肋骨を緩め、横隔膜の動きをよくして深い呼吸に導く

 

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仙骨を動かし、肋椎関節を柔軟にして脳脊髄液の流れを促す

 

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背部と腹部へのアプローチ手順

  1. 筋肉の過緊張、低緊張を見分ける
  2. 筋肉の方向を見分ける
  3. 相手のリズムに合わせる

筋肉を読み、イメージをもって施術する!

 オイルトリートメントに入る前、タオルの上から、身体全体の筋肉の状態を把握します。
「過緊張」の部位はへこみ、「低緊張」の部位は膨らんでいます。
さらに身体の左右・前後差などを確認。


 筋肉の流れに沿って手を動かすと低刺激に、逆らうと強い刺激になるので、患者さんに必要な手法を選びます。


 常に筋肉の声を聴き、イメージをもって施術することが大切です。


1、

 背臥位の患者さんの足側に立つ。
仙骨の上に手の平を沿わせて置き、ゆっくりと左右に倒すようにロッキングし、仙骨を動かす。
これだけでも呼吸が深くなる。

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2、

 立ち位置を頭側に移動して、仙骨に手の平を当て、中指を中心にして、左右にロッキング。
左右の動きの差を見る。
動きが悪いほうは、圧をかけて1分ほど静止して、調整する。

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3、

 また足側に移動。
仙骨を左斜め下から、右斜め上に向けて、手根で圧をかける。
手を下から旋回させるような要領で行い、患者さんに深い呼吸を促す。
仙骨の右側も同様に。

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4、

 左手を患者さんに左脇に添え、右手の平全体で、右わきから脊柱に向かいスライド。
患者さんに呼吸をしてもらい、身体の外と内から圧をかけることで、肋椎関節を刺激する。

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5、

 仰臥位になってもらい、肋骨へのアプローチを。
患者さんの右サイドに立つかベッドに座り、患者さんの右第10肋骨の先端あたりを、手根で内から外に圧をかける。

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6、

 続いて、右第8~7肋骨の先端あたりを、同様に手根で内から外に向けて圧をかける。
呼吸に合わせて、ゆっくりと行う。

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7、

 左第8~7肋骨の先端あたりを、手根で内から外に向けて圧をかける。

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8、

 続いて、左第10肋骨の先端あたりを、同様に圧をかける。

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9、

 最後に剣状突起のすぐ下に、中指を中心にした3指をあてる。
呼吸に合わせて、少し指を曲げるようにして、指を沈めて前後に圧をかける。
痛みを感じる人もいるので、優しく行う。

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