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うつは「癒し」だけでは治らない

更新日:2019.09.22

執 筆:整体師&カウンセラー 鈴木直人

うつの方の多くは、たくさんのストレスを抱えているために、心身ともに疲れ切っています。
そのため、癒しやリラックスが必要と考える人が多いです。


確かにつらい症状の方には癒しやリラックスは必要なのですが、実はそれだけでは完全に治ることにはならないのです。
なぜなら、本当に必要なのは「ストレスに対しての抵抗力(以下ストレス耐性)」だからです。


うつは「ストレス耐性」がないと治らない

厚生労働省の調査では、うつで休職した方が復職した後、5年以内に再度同じ理由で休職する確率は約47%となっています。
つまり、約半数の人は休職中に体調がよくなっても、仕事を始めたらまた再発してしまったのです。
これが何を意味しているかというと、「ストレス耐性」がないということを意味しています。


もし、ストレス耐性が付かなければ、その人は一生働くことができませんし、ストレスがかかるたびに休職しなければいけなくなってしまいます。


実は、今こうした人がとても増えているので、我々はこのことも踏まえてクライアントをサポートする必要があると考えています。

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うつの原因となる「対人関係のストレス」は排除できない

原因の有力候補となるのは確かにストレスです。
しかし、このストレスというのは、自分で排除できるものと、排除できないものがあります。


例えば上司や近所の面倒くさい人、あるいは家族や近親者がストレスになっているという方も多いでしょう。
そして多くの場合、そのストレスになる人を自分の力で排除することは非常に難しい状態だと思います。


上司を自分の力で変えることはできません。
たとえ休んでも、復帰したらまたその人の元で働くことになります。
そこそこの規模の会社でない限り、配置転換は難しいのです。


また、近所の面倒くさい人に「引っ越して下さい」と言ったところで引っ越してくれるわけではありません。
自分が引っ越してもまた同じような人が近所にいるかもしれません。家族と縁を切るのもそう簡単なことじゃないですよね。


 つまり、ストレスは一時的に減らすことはできても、生きていくうえで、いつかは再びストレスにさらされるのです。


「ストレス」を完全に排除することは無理

また、人は生きていけば年を取り、年を取ればストレスは多くなっていくのです。


一般的に考えて、幼児より学生の方が受験やその他のことでストレスがかかります。
また、学生よりも社会人の方がストレスがかかります。
更に、同じ社会人でも一般社員より役職者の方がストレスがかかります。
また、独身よりも結婚した方がストレスはかかりますし、子供がいないよりいる方がストレスはかかります。


ストレスは「生きがい」にもなりますが、体調が悪い時には単に「負担」と感じてしまうので、ここでは生きがいの部分はちょっと横に置いて考えましょう。


話を元に戻しまして... つまり、ストレスというのは自分の力で排除できないため、ストレスが原因と考えていると、どうにもならない絶望感など未来への希望を感じられなくなってしまうのです。


原因は、怒りや悲しみをグッとこらえること

多くの方が誤解しているのですが、実はうつはストレスが多いからなるのではないのです。
ストレスを受けた時には、何らかの感情が湧き起こります。
この沸き起こった感情を抑え込むことが本当の原因なのです。


例えば、あなたは最近嫌なことがありましたか?
ちょっと思い出してみて下さい。
その時、どんな気持ちになりましたか? この気持ちが感情です。
イライラしたり悲しかったりと色々な感情が湧いてきますが、多くの場合、その感情を抑え込んでしまいます。


普通は上司にイライラしたからといって、面と向かって言いたいことをそのまま言うことはできませんし、悲しくなったからといって、仕事中に思う存分泣くわけにはいきません。
自然とグッと我慢をして感情を押さえつけるのが普通です。


また、家庭でも子供にイライラしたからといって、思う存分怒鳴るわけにもいきませんし、悲しくなったからといって、子供の前で泣くと心配させてしまうと思います。
ここでもグッとこらえることがあるわけです。

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怒りや悲しみは、自分を守るためのエネルギー

人間的にはこのような我慢は成長の糧となりますが、これが多すぎるとうつになっていきます。
なぜなら、感情は自分にとって必要なので湧いてくるものだからです。


例えば「怒り」の感情は、自分や自分の大切なものが危ない目に合うかもしれない、あるいは危害を加えられたというときに、自分や自分の大切なものを守るためのエネルギーとして湧いてくるのです。


一方、「悲しみ」の感情は、自分や自分の大切な人を癒したりするためのエネルギーとして湧いてくるのです。


このページでは、うつの本当の原因について詳しくお伝えしました。
本当の原因は、ストレスではなく、自分を守るためのエネルギーである感情を抑え込んでしまうことでした。


では、なぜ感情を抑え込んでしまうと問題があるのでしょうか。
次のページでは、キーワードである自律神経について詳しくお伝えいたします。

⇒自律神経について


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