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更年期障害と副腎・自律神経

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更新日:2019.09.19

執 筆:整体師&カウンセラー 鈴木直人

このページをご覧になる方は更年期障害で悩まされている方だと思いますので、まずはあなたにご質問です。


最近の5年間、あなたはストレスを感じることは多かったですか。


答えを下記から選んで下さい。


  1. とても多い

  2. 多い

  3. 少ない

  4. かなり少ない


おそらく3、4を選ぶ方はかなり少ないでしょう。


当整体院に来院される更年期障害の患者さんたちも1や2を選ぶ方がほとんどです。


なぜなら、更年期前の自律神経の乱れが、更年期障害に深くかかわってくるからです。


自律神経の働きについてはこちらのページでご確認ください。)


そして、自律神経を乱すのがストレスであるため、更年期障害でお困りの方のほとんどが最近の5年間のストレスが非常に多い方がほとんどなのです。


また、ストレスは時間と総量ですから、10年ぐらいずっとストレスがかかっていて、最近数年は少しストレスが減ってきたという人もストレスは多いと考えて下さい。


なぜ、ストレスが多いと更年期障害を患うのか?

それは卵巣と副腎(特に副腎皮質)の関係を知る必要があります。


卵巣はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のホルモンを分泌し、更年期になると、この両方のホルモンの分泌量が落ちてくるのは既にご存知だと思います。


そのため、ほてり感、月経異常、不安感、不眠症、焦燥感、イライラ感、顔や頭だけ汗をかく、頭痛、頭が重い感じ、そしてうつや躁うつ的な気分障害があらわれるのも、このページをご覧になっている方なら既に実感している方も多いかと思います。


閉経後3年もすると卵巣から分泌されるホルモンの量は激減します。


平均すると通常期と比較して、エストロゲンで40%程度に落ち込みます。


プロゲステロンはなんと通常期の0%になりますから、更年期には卵巣からは全く分泌されなくなります。


エストロゲンは40%ですが、これは平均値ですので悪い人だと10~20%程度に落ち込む人もいるでしょう。


ここで重要なのが「副腎」という臓器なのです。


副腎は腎臓に上にちょこんと乗っている小さな臓器ですがとても重要な働きをしています。


実は、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンは卵巣で作られて分泌されていると多くの人は思っています。


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とても重要な臓器「副腎」



もちろん、卵巣でも作られるのですが、実は副腎皮質という場所でも作られているのです。


副腎皮質はこのエストロゲンとプロゲステロンという二つの女性ホルモンを作っていますが、アンドロゲンとテストステロンという男性ホルモンも作っています。


ですからこれからお伝えしますが、男性の更年期の原因も女性の更年期と同じなのです。


しかし副腎皮質はこの女性ホルモンや男性ホルモンを作る以外にも、とても重要なホルモンを作っています。


それが糖質コルチコイド電解質コルチコイドと呼ばれるものです。


ここからがとても重要なのです。


糖質コルチコイドと電解質コルチコイド

糖質コルチコイドは、主に以下の2つの働きを行います。


  • 糖新生(とうしんせい)呼ばれ、たんぱく質を分解して糖を作る

  • 炎症を抑える作用。(抗炎症作用


電解質コルチコイドは、腎臓でナトリウムイオンの再吸収を高め、カリウムを体外に出す作用があり、体内のナトリウムとカリウムイオンのバランスを取っています。


実は糖質コルチコイドと電解質コルチコイドは、総称してコルチコイド(またはコルチコステロイド)と呼ばれ、その働きから抗ストレスホルモンとも呼ばれています。


そのため、ストレス時にはとても多く分泌されるホルモンです。


ストレスがあると、副腎は糖質コルチコイドと電解質コルチコイドをなくなるまで出し続けます。すると副腎機能低下症という症状が出てきます。


これがひどい場合には、疲労感・めまい・耳鳴り・難聴・力が入らない・喘息・胃潰瘍・不眠症・頭痛・動悸など自律神経失調症と同じような症状が出てきます。


つまりストレスが多いと 副腎皮質が疲労してしまい、より重要なホルモンである糖質コルチコイドと電化質コルチコイドを優先して作り、エストロゲンやプロゲステロンを作るのは後回しになってしまうのです。


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自律神経失調症のような症状が...



元々、副腎皮質が作るエストロゲンやプロゲステロンは少量なのですが、更年期に差し掛かった女性には、この少量のホルモンでさえとても重要になるのです。


更年期障害で不快な症状が出る方は、年齢的に卵巣が女性ホルモンといわれるエストロゲンやプロゲステロンが作れなくなった時に、卵巣に代わってそれらを作る副腎皮質が既にストレスで疲労していて女性ホルモンを作れなくなってしまっているのです。


この状態は、ストレスで自律神経が乱れ副腎皮質ホルモンがたくさん使われている「自律神経失調症」の状態と同じです。


ですから更年期障害は、自律神経失調症の症状のうちの一つに数えてもいいぐらいなのです。


「自律神経失調症についてはこちらのページでご確認ください。


それでは、次の「更年期障害の原因と対策」のページでさらに詳しくお話していきます。


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